末期の過ごし方について~ペットも家族も守る
2018.12.30
みなさま
今年の仕事納め?になるかどうか・・・これから時間外診察を診ますが、診察券をお持ちの方のみにさせていただいております。
さて・・・当院も来年で20年になります。
という事は初診から診せていただいている子たちが、高齢になってきており、もうすでに2代目、3代目のペットたちを連れてきていただいている状況です。
そんな中・・・寝たきりなっても一生懸命日々お世話を続けている飼主さんたちもいれば、まったく治療しないという方たちもいます。
若かった頃は、まったく治療しないといい人たちに、ただただ憤ることが多かったですが(・・・さすがに自分勝手な人は今でもダメですが)、
丁度診察終りの時間を利用して、昔から通ってきている患者さんと2日にわたり、長いお話をさせていただいて、感じたことを書こうと思います。
その子は柴の高齢の子です。今まで大きな病気はしませんでしたが、お父さんが度々、お肉をたくさん与えては下痢になり、若かった私にしっかり「指導」されていました。
その子も今年で17歳です。特に大きな病気もなかったですが、肝臓右葉に大きな腫瘤ができてしまいました。治療前は痛いのか?寝れませんでしたが、点滴に通っていただく中で、初日からよく寝られるようになったと伺いました。
ただこの状況では最悪亡くなってもおかしくはないため、お父さんははじめご家族が「悲しい未来」に気持ちが生きやすくなりました。
お父さんは大事にされているのに急に「点滴をしたくない」と言い始めたと、ご家族が相談がてら、連れてこられました。
検査し、やはりまだ治療が必要と説明し、同意が得られ、点滴後にご飯も食べられるようになり、寝られるようになったことから、今日も行いました。
治療後明日以降の話をしたのですが、最初は「いい状態のうちに安楽死」と言っていました。若いころの私なら治療への想いから、「まだ治療ができるのに!」と言っていたと思います。
まだご家族がお父さん希望の「安楽死」に同意されていませんので、することはありませんが、
よくよく話を聞くとほぼワンちゃんと24時間いて、これから起こるかもしれない悪化への恐怖、命が失われるかもしれない恐怖から、その姿を見たくないという思いからでした。
私はその気持ちは真実だなあ~と思ったので、「そうだね。大切だもんね」と一度受け取ってみて、「もし安楽死して後悔しないの?」と聞いてみたら、泣かれてしまい、言葉と裏腹に、大切な思いが隠されていると思いました。
その後ご家族と話し、治療は継続となりました。
ご家族にお伝えしたのは「この子も心配だけど、お父さんが心配です。だから状態の落ち着いた今じゃなく、本人が頑張れるなら、正月はお家で過ごせるようにしましょうとお伝えしました。
ここで気が付いたのは言葉と裏腹な想いです。それは身近なご家族が一番感じているから、お父さんに反対しているのであって、カタチの少し違う「愛」をたくさん感じました。
日々忙しい診療の合間にこれだけの時間を作るのは、なかなか難しいですが、しっかり時間をかけ、話し合いができ、「相手の大切にしたい思いを大切にする」ことができたのではないかと思います。
最後に・・・どんなに健康でも、若くても、いつかはお別れの時が来ます。その日は明日かもしれないし、20年先かもしれません。しかし日々の時間を大切に、挨拶するなど、日々の小さなことを大切にし、
いい状態の時はもちろん、悪い状態の時にこそ、寄り添える関係性を築いてほしいです。
私たちは、そんな想いをサポートできるようにしていきたいと思います。